ウルトラマン制作当時の公式設定と時代考察

円谷英二率いる1966年当時のウルトラマン公式設定

このページの内容は、世田谷文学館に展示された、 円谷英二率いる、1966年当時の「TBS番組解説用紙」に記載された当時の「ウルトラマン」 の公式設定を転記したものです。 展示されたものに対して、時代背景などを独自に考察しています。

ウルトラマンの当時のカラータイマーと解説

カラータイマー3分間のウルトラマン。タイムを知らせる。
1分以内青、2分以内黄色、3分赤。
赤になると危険。


【解 説】
1966年、当時のウルトラマンのカラータイマーに黄色があったという事実は、まさにトリビアであった。

ウルトラマンはカラー番組であったが、1960年9月に日本で、 カラーテレビの本放送が開始されたばかりで、テレビの契約台数が、1962年1000万を突破し、 この時点で、普及率が48.5%。つまり日本人の各家庭約半分の茶の間に、ようやくテレビがやってきたという状態である。

ウルトラマンの放送がTBS系で、開始されたのは日本でカラー放送が始まった6年後、 その4年前でテレビの普及率そのものが日本国民のやっと半分。

1964年の東京オリンピック見たさに、テレビが一般家庭に飛躍的に普及したといわれているが、 一般家庭の茶の間に置かれるテレビの多くは高価なカラーテレビではなく、白黒テレビであり、従って こどもたちの多くは、雑誌やカードではじめて怪獣の色を知った。 (ウルトラマンシーズのプロマイドが当時駄菓子屋で1枚5円。怪獣スタンプブックも人気であった。) 当時のカラーテレビには、緞帳(カーテン、カバーの類)が下げられているほど高価な扱いであった。

当然、ウルトラマンのカラータイマーの設定が信号機のように3色あることも、分からない。 そこで苦肉の策としてカラータイマーを点滅させることによって、 色の演出を行っていたという。(カラータイマー演出については、満田みずほ監督談)

ウルトラマンの必殺技「スペシュウム光線」公式設定

1 スペシュウム光線は(光線熱戦)である。
2 白色光
3 左手+ 右手-
4 射程80メートル
手を胸の前で十字に交わらせると+と-の電流が重なりスペシュウム光線がでる。

★用途 「殺人、破壊など、武器としても使えるが、炭鉱の発掘など」


【解 説】
ウルトラマンのスペシュウム光線の用途が、 「殺人」と「炭鉱の発掘」と設定されていることに驚愕し、そしてあることに気づき とてつもなく感動した。

円谷プロが旗揚げしたのは1963年 昭和38年4月12日
同年 昭和38年1963年、戦後最大の炭鉱事故が福岡県(三井三池炭鉱)で発生し458人の死亡者を出した。 一酸化中毒患者は839人。

ウルトラマンがいたら、炭鉱で死亡した多くの人々は救えたかもしれなかった。 ウルトラマンのスペシュウム光線の用途を「炭鉱の発掘」と設定した理由の1つに、 その当時の時代背景と助けたかった命への想いが、この設定を作っていると理解している。

【命名秘話】 本編でのスペシュウム光線の命名は「ムラマツ」キャップにより命名された。

■最大40メートル
うでの力はインド象50頭分
1万トン級の船を持ち上げる。


【解 説】
ウルトラマンのパワー表示に、こどものイメージしやすい象や船といったものを使用されていることに注目したい。 動物では重いものの代名詞的イメージのゾウ、 船は、大量の荷を海外から運ぶ(輸出・輸入)等のイメージから使用されたのかもしれない。

また、これはあくまでも推測だが、1943年(昭和18)8月、戦時下の措置として 戦争中、象などの大型動物はその飼育に困り処分されたという事実を綴った 「かわいそうなゾウ 戦時中処分された動物たち」といった本が 当時、全国学校図書館協議会選定必読図書・全国学校図書協議会選定基本図書の1冊として多くの学校などで、 こどもたちの目の届くところにあった(「かわいそうなぞう」は、 1951年創作された。)この影響から、

制作者の脳裏にはウルトラマンをイメージしたときに、「ゾウ」が 救いたかった命の1つとして、ヒーロー設定と結びついていったのかもしれない。

■飛び上がる力は、ひとっとび500メートル。
■つかれない、空も飛べる時速800台

これらの文章は、保存用原本に記載されていた。

40年たったウルトラマンシリーズ40周年記念作品「ウルトラマンメビウス」 の第1話(2006年4月8日放送、サブタイトル「運命の出会い」)で、 メビウスがビルを楯に闘ったことを地球人に叱責されるシーンがあるが、 当時のウルトラマンの出現場所には、首都高速道路もなく、用賀インターチェンジもない、 野原と田んぼ、畑がまだまだ十分に 残されていて、当然ビルすらもない。そして空が飛べるといいな的ファンタジーの醍醐味発想に加えて、 疲れないというささやかな願いを込めた庶民感覚。

怪獣との格闘でビルを崩壊させて、地球人に叱咤されるなどとは、夢にも思わなかったことであろう。 また、2006年の「ウルトラマンメビウス」の前作になるが同年2006年「ウルトラマンマックス」放送当時、 社会問題となったマンション手抜き工事が発生すると、ウルトラマンマックス、第31話 サブタイトル「燃え尽きろ地球!!」にて、ウルトラマンマックスが、 ホテルに腰掛けて見せ、そのびくともしない安全性を表現するなど、社会風刺もあり、 人々の願望やビルとウルトラマンとの関係も、よくも悪くも時代の背景の一つの象徴とも言える。

ウルトラマン考案秘話

飯島敏宏監督が、スペシュウム光線のポーズや、ウルトラマンが飛び立つ時の「シュア」という掛け声を考案した。

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