ウルトラマンと闘う怪獣たち・着ぐるみ考察

ウルトラマンと怪獣たちスーツアクターによる喜ぐるみ考察【パキシム・ウー】

バキシム

倒れられない怪獣たち

ハッキリ言ってアクター泣かせの部類の奴である。ウルトラマンの怪獣は、おおむね奇抜であるがAあたりから 以前のパターンの打破というのか飽き対策というのかより、怪獣の奇抜性が増して動かす人間の人権無視や、 愛の欠如が往々として感じられ、タロウやレオになるとこれが最高潮に花開くのである。

ウルトラマンメビウスで34年ぶりに復活を果たしたバキシム独特のカラーリングと、角を充分に取り入れた体の外側と、 曲をふんだんに取り入れた腹部、ブルーとオレンジのカラーリング等怪獣の中でも屈指の名作と言える部類であろう。 しかしこのバキシムなかなかの曲者なのである。

まずこの超獣なかなかに製作コストがかかるらしく、ショー用の着ぐるみの数が少ないらしく、知っている限りでは 1体しか存在を確認していない、着ぐるみの中では古いくせに使用頻度が少なく良い程度で保存されている。 (着られる人間が限られているので困ることはないのだが)体の外側の角と内側の曲の折り合わせが 少々難儀であるらしい、ようするに費用がかかると言うことである。

着ぐるみは日本刀と同じで今を持ってしてもしつらえもののハンドメイドである。 手作りな分手間も費用もかかるのだ。

次にこの体型にあるバキシムを眺めていただければお分かりであると思われますが、上半身が小さく下半身が大きい。 少々いびつではあるが富士山形なのである、しかも足が短い正確に言えば、足の長さは膝上より少しある程度なのだが、 尻尾の下が、膝下まで例えるなら、座布団を2枚丸めて股にはさんで動くような独特の動きにくさがある。 これが動きを大幅に遅くさせ機動性に大幅な問題を呈する、さらに股が磨れて辛い。

バキシムは、一度転ぶと下半身に重量が集中している上に、足の有効なレンジが低いため起き上がるのに難渋する。 これは怪獣着ぐるみの中では屈指と言って良いだろう、舞台の袖が階段状になっていたり通路が狭いと最悪で、 酷い場合は通路の壁にオレンジと青のラインを描きながら(磨っているとも言う)進むこととなる。

舞台の袖が階段ならばご老体のような介添えが必要になってくる、 ご老体を胡散臭い笑顔で介添えしながら歩く 青少年の姿は絵になるのであろうが相手が、バキシムだとこれは傍目からしてかなりみっともないはずだ。

ショーでも転ぶと不要な時間のロスにつながるため、動かす場合は今回のメビウスの放送のときのように死ぬまで転ばない という方向で調整がなされる場合が多い。 特に最後のファイト、主題歌がバックにかかっている戦いときは、歌の終わりに バトルを終わらせないと非常にしまりが悪くなるので、無難な動きが(手抜きとは別物なので間違わないように) 大切になってくる。

音声なしでのバトルはかなり空しい、もう一度歌をかけると残り時間に無意味に歌が続く羽目に なりMCやアテレコの邪魔である。

これもみっともない、今ならば「♪ウルトラマァーンメビウゥース、じゃぁ〜ん♪」と来るまで倒れないのである。 そのまま逃げるというパターンや照明を落としてその隙に袖に逃げるという手もありだ。 バランスの悪い着ぐるみであるガンQは頭が重くて起き上がりにくいが、 バキシムは下半身が重く手が短いため起き上がりにくいのである。   むっちり体型で型が奇抜とあらば、重量や操作性の改善にも限界があるのだ。

またバキシムの必殺技のほとんどが、ミサイルや炎など飛び道具が主力で体型からも 見てのとおり格闘向きの物ではないので、動かす祭には一工夫が必要である。 子供中心ののショーに消防と警察の許可を取らねばならず事故の危険性の高い爆着など使わせてもらえるわけでもなく、 着ぐるみも高価なので破損しないようにしなければならないのである。

第2ウー(ウルトラマン第31話「まぼろしの雪山、ウルトラマンA第42話「神秘! 怪獣ウーの復活に登場)

怪獣に何故触ってはいけないの?

ウー・・・この怪獣の名を聞いて、皆様はどんな気持ちになるであろうか?ウルトラファイトのウーは別として、 死してなお愛する子供を守ろうと現れる。哀れと言うか健気と言うか、そんな悪と割り切れない切ない怪獣である。

雪山怪獣のこのウー、ショーになると暑いも寒いも関係ない(中身はいつも熱帯ジャングルだ) どこへだってやってくる。 守るものは自分の身だけ過去のエピソードなんかそっちのけの極悪怪獣。

さて、このウー映像作品で神秘的な表現が功を奏したが、ショーのステージに上がるとこの神秘性が全く、ない! ただの暑苦しいマルチーズの化け物のようなのだ。 ウーの特徴と言えば、あの白い毛だが(多分アクリル系の化繊と思われる) あれが適度に薄汚くなっているために不潔感このうえない。

散々な言われ方のウーだが、アクターとしてはかなりいい奴であると言いたい。 まず視界程度が思ったよりも、良く毛で覆われている分だけボリュームがあって見えるが、 実は本身は以外にスリムなのである。

毛の長さも程よいので、踏んだり引っかかったりしにくい。 毛がなければ、多分黒こげ電撃ショーに供されたオラン・ウータンのように見えるはずだ。

昔倉庫で眠っていたウー、子供やお客さんとふれあううちに あの白い毛を引き抜かれるためである。塵も積もれば山となる、哀れウーはいたるところにハゲが出来るのである。 このウーは第一次からの怪獣ブームを生き残った物言わぬ証人だったのである。

その当時は、本気でアクターやスタッフなどは休む暇もなく、各地で取り合いの大騒ぎであったのだそうな、 来ると決まってもいきなり来られなくなったり、何が来るかも分からない戦後のどさくさにちかいものなのであろう。

ウルトラマン、セブン、ウルトラマンエースvsブースカなんて組み合わせもあったらしい。 これは目の当たりにすれば「ハヌマーンと7人のウルトラマン」のゴモラをリンチ虐殺するのよりえぐいかもしれない。

お客様とふれあったりサービスしたりしているうちにこんな哀れな姿になったのである、別に助けてくれた若者に 恩返しするため自分の毛で反物を織ったわけではないのである。

意外と抜けた後の毛はスポットで取り付けるのは難しいらしく、ちぐはぐ感が出てしまう、 毛皮の補修がしんどいのと同じで そうなると総張替えか新造となるのだ、 お客様の愛のこもった虐待によりお払い箱になった怪獣はかなりの数に上るのである。

その他の事故も原因だがそれゆえに怪獣をさわってはいけません!と厳しく注意されるようになったのである。 ウルトラマンは意外と安値で作れるが、怪獣は物によっては新車1台分はするのである。 これは死活問題なのであるツブレヤという揶揄は、決して的外れではないのだ。 毛の長いウーは犠牲になったのが分かりやすいバロメーター怪獣でもあるのだ。

くどいようだが性能は非常に優れているウーだ動きやすいし視界も良好、人間型なので不要なもたつきや 「ぼてる」ことも少ない。

ただ神秘性のためか、決定打に欠けるのかウーの出番はどんどん少なくなっているような気がする。 重量もそんなにないので怪獣慣らしにはもってこいの教材なのだが、 毛のある着ぐるみはみんなハゲができるこれは例外ではない。


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